読んだ本…書楼弔堂 破暁
京極夏彦 著
江戸から明治になったばかりのころ。
無職の士族が、とある古本屋に通う。
古本屋の主人は、尋ねてくる客に、その客のための一冊を選ぶ。
その客は、みな明治の有名人であり
主人公は、その場に立ち会う狂言回しののような存在だ。
表紙のおどろおどろしさに
怪談めいたものを想像して読み始めたが
怪談ではなかった。
客である明治の有名人たちの、エピソードが
たくさんはいっていて、ほんとにおもしろい。
楼閣のような古本屋は
奥行きも高さも中には行ってみてもよくわからない。
そこにぎっしりと本がならべられていて
薄暗い、いやろうそくをつけないと、ほぼ暗闇になる
店の中。
かわいいんだか小憎らしいんだかわからない風変りな小僧もいる。
行ってみたいような、ちょっと怖いような古本屋だ。
題名や各章のタイトルに古めかしい漢字をつかってあるけれど
地の文は、すんなり読みやすかった。