予約していたことを忘れてしまったころに
返す前に、五回くらい読んだ。
ひさしぶりに、物語の中に迷い込んでしまった。
以下、ネタバレ有りの、わけのわからぬジグソーパズルのような感想。
もし、これから読もうと思ってる方は、読み終えてから、
お出でください!
路地。
長屋。
古い図書館。
樹のある公園。
古本。
自由。
戦前の小説。
物語。
嘘と空想の混じった子供のころの思い出。
暗号。
謎。
私の好きなものが 混然一体となっている小説だった。
登場人物の喜和子さんに、かなり感情移入して読んだけど
喜和子さん、最初は感じ悪かった。
「わたし」が強引に喜和子さんに家に連れていかれたところで
その家の描写を読んで、とたんに、喜和子さん派に。
なぜなら、うちの仕事場にそっくりだったから。
自分の単純さに、笑ってしまう。
そして
子供のころの、空想の混じった思い出を抱いて
自由を求めて暮らす姿にとても共感したのだった。
ただ、不倫は賛成できないけど…
作者が、無縁坂に住ませたかった?
鴎外の小説のエピソードを入れたかったのかなぁ。
一葉が好きな喜和子さんが
一葉風文体で書いた、作中の思い出の記は勢いがあって
ありありと情景が思い浮かんだ。
喜和子さんの話と並んで、
図書館が主役の物語が一章ごとに挟まっている。
たくさんの作家たちが訪れる様子も描かれていて
それもおもしろいのだが
戦争のたびに予算を削られて、いつもお金がないのが、
図書館だったのだと繰り返しでてきて、これが一番印象に残った。
いつも、思ってることとちょっとずれてしまう。
難しいので感想を書くのは、やめていたけど
難しいと思うことに挑戦してこそ!などと突然思い立って書いた。
やっぱり、なんだか、ずれているけど、まぁいいか。
どっちも、私のあるある。