あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
耳丸くしたけど、縞もつけたけど、やっぱり猫っぽかった。。。
今回の回文は長編なので、挿絵風に白黒にしてみました。
シイノミノイシ
椎の実の意志
海沿いの小さな山の雑木林に、一本の椎の木がありました。
椎の木には、たくさんの椎の実がなっていました。
その中の一個、仮にどんぐりのドンちゃんと呼びましょう。
ドンちゃんは、木立の間から海を見るのが好きでした。
海を渡ってやってきた渡り鳥達が、おしゃべりしているのを
そばで聞くのも好きでした。
「オレも絶対海の向こうの遠い国にいくぞ!」と
海を見ながらいつも思うのでした。
どうやって行くのかって?
それは考えていませんでした。
ある大嵐の日
仲間たちと一緒にドンちゃんは、木から落ちてしまいました。
粘ったんですけどね。
仲間たちはそれぞれ、雨風をよけられそうなところを
探して、ころころ転がって行きました。
しかし、ドンちゃんは、その時、考えました。
「隠れたら、そこで芽が出てどこにもいけなくなるかもしれない。」
そして、落ち葉の上で、嵐がおさまるのを待ちました。
なにか考えがあったわけではないんですけどね。
次の日、嵐は去って、太陽が顔を出しました。
ドンちゃんの丸い体に、陽ざしが当たり
キラッと光りました。
キラキラッ!
それを、見逃さなかったのは、カラスです。
バサバサっと飛んできて、ドンちゃんをくわえ飛び立ちました。
ひゃぁ~~~。
今まで、山から見ていた町並みの上を飛んでいきます。
あぁ、目が回る~~。
その時、カラスはもっといいものをみつけて
ヒューンと急降下しました。
それは、坂道に落ちていた、白いビニール袋。
カラスはドンちゃんを離し
かわりにビニール袋をくわえて飛んでいきました。
さて、その坂道は、運よく海へと続く坂道でした。
コロコロコロコロころころ…
ドンちゃんが止まったのは砂浜、それももう波打ち際でした。
目が回って立てない。
しばらく、ぼーっとしていると
ザーザーという音が聞こえ、しらない匂いがして
しぶきが体にかかりました。
「オレ、海に来た…? ラッキー…」
体にかかったしぶきが水玉になってキラキラっとしました。
次の瞬間。
あっという間に空から海を見ていました。
今度は、とんびにくわえられたのです。
ひゃ~
「広い!気持ちいい~ひゃほー」と
とんびと一緒に、空の散歩を満喫していると
「ギャアギャア」と向こうからもう一羽とんびがやってきて…
いきなりケンカがはじまり…
ドンちゃんは、ボチャンと海の中へ。
どうしたものかと
プカプカ浮いてとんびのケンカを眺めていたら
運よく、板切れが流れてきました。
板切れに乗ったドンちゃん。
運よく、潮の流れにのっかって、遠い国の浜辺に流れ着きました。
流れ着いた国でも、運よく、一山当てたドンちゃん。
数十年後には、大きな大きな椎の木になっていました。
今では、小さな椎の実たちを集めて
昔話を聞かせるのが、日課になりました。
「で、だ。一番大事なのは、意志を持つこと。
自分がどうしたいのかってな。
そして、それに向かって、努力することだ。えへん。」
えへん。…って。。。
努力してたっけな?
運よく…運よく…運よく…。
☆☆☆
ぬり絵好きなので、途中でちょっと揺らぐも初心貫徹した。
あとで、コピーして色塗ろうかな。
次回は、いつもどおりの天然色回文イラスト予定!